579人が本棚に入れています
本棚に追加
「マフィアのボスからそのようなお言葉がでるとは……」
「もうマフィアじゃないだろ。それでも……らしくないかい?」
「いえ、我らのボスらしい」
ニヤッと口端を上げる少年に、やっと年相応な笑顔がうかぶ。
レモンティーに浸かったキャンディーを再び口に含み直した少年は指をひとつ鳴らした。パチンと乾いた音が室内に響く。
「No.8から10を呼べ」
「了解」
スクリーン右側に表記されてある1~10の数字のうち8、9、10が赤く点滅した。
この小さな少年が頭を務めるのはどの国にも属さない秘密裏組織「NeRo-ネロ-」。イタリアンマフィアを前衛としているが、現在はそれを逆手に取り公の機関では手の届きにくい犯罪組織集団の制圧を行なっている。
表向きでは。
実際には湯浅冬生という学者が開発したBlack Cube、通称BCの捜索及び破壊を目的としている。それは全知全能のパンドラの箱。その正体は未だ謎に包まれている。
全ての知を結集させた存在が宿主を見つけ人間と完全に融合したその時、この世に何がもたらされるのか。既にBCの弊害を強く受け、黄色く変色したボス左目には希望、ではなく絶望しか映されていなかった。
巨大スクリーンには既に3人の男女が言い争いをしながらもこちらへ向かってきている様子が映し出されていた。
ボス直下には組織のTop10として10人の精鋭達がいる。彼らにはコード番号が振り分けられており、任務中は主にこれを使用する事になっている。
最初のコメントを投稿しよう!