mission 8

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「……君は」 「でも、何も分からなくても相馬君が……エリザさんやロイさんも、私のためにしてくださってるってことは理解できます。だってもう何度も何度も助けていただいたんですから。きっと私の力のせい……。でも言えない事なんですよね? 相馬君が言いたくなくて、言うのが怖いと思われるのでしたら、私は聞きたくないです。相馬君を怖がらせたくないです」  小夏は握り込んだ八雲の右手を、少しでも八雲が落ち着くようにと、そっと撫でた。 「初めてお会いした時私に言ってくださいましたよね。自分を卑下して作り笑いをするな、と。私も今そう言いたいです。汚いなんて言わないでください……相馬君が汚いなら、私なんてもっともっと汚くて醜い人間です。びっくりしましたよね、こんなことまで分かってしまうなんて気味が悪いでしょう? でも相馬君はいつも私を思いやってくれて、そのままの私を見てくれて、受け入れてくれました。こんな得体の知れない力を持つ私にとってそれがどんなに嬉しいことだったか、分かりますか?」  小夏はハッと見開いた八雲の双眸をそっと見上げた。 「以前も言いましたが何度でも言わせてください。相馬君はとびきり優しい人です。これは誰に何と言われようと絶対なんです。どんな事実があったとしても、目の前にいる相馬君は間違いなく相馬君です。優しくてまっすぐで不器用で、でもありのままの私を見ようとしてくれる相馬君が大好きなんです。これも絶対です」  小夏は傷だらけの八雲の右手をそっと引き、今度は自分の頬に当てた。すり、と猫が擦り寄るように八雲の手の暖かさを感じながらそっと目を閉じる。 「相馬君が言いたいと思うその日までいつまでも待ちます。そんな日が来なかったとしても、私は構いません。それでも私は、私は……」  小夏はゆっくり目を開くと、ふわりと柔らかく包み込むような笑顔で、小さく花が咲くようにそっと微笑んだ。 「相馬八雲君が大好きです」
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