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「そこのホモ、さっさと行くぞー! いいネタ拾ったわ。胡桃沢部長に言ってやろ」
「ちょっ! やめろ。マジで部長はやめろ。一瞬で全校生徒に広がる!」
一樹が向日葵の背中を必死に追いかけていく。その背中を眺め小さく微笑んだ小夏と八雲はそっと顔を見合わせた。
「行こうか」
「はい、行きましょう!」
キラキラと輝く小夏の笑顔に、八雲は堪らず小夏の頭を撫でる。予想だにしない不意打ちに思わず顔を赤らめた小夏だったが、くしゃりと照れ臭そうに笑った。
「今晩は何がいいですか?」
「……肉がいい」
「じゃあ向日葵ちゃんのお店でとびきり美味しいのを買いましょう」
「そういえばコロッケ、新作が出ていたな」
「ふふ、食べたいですか?」
「……まぁ、少しなら」
「いくつ食べられます?」
「5」
「了解です!」
向こうから向日葵と一樹が小夏と八雲を呼ぶ声が雲ひとつない晴天に響き渡る。2人はそっと目配せをすると、どちらからともなく駆け出した。
初夏の澄み渡るような清々しい風が頬を撫でる。
2人の新しい道が今、開かれようとしていた。
ピピッ……ガガッ………
「……ターゲット確認、指示を」
「そのまま尾行を継続。問題なければ計画は明日だ」
「 ……了解」
ガガッ……ピッ
プツンーーー
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