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「計画は変えない。引き続きNo.8から10はターゲットの護衛及び監視に当てさせる。警備を緩めるな。兄が何も気づいていないはずがない。あとエリザとロイに伝えて。旭小夏になるべく糖分を摂取させるよう。単糖類がいい。BCの暴走を抑えてくれる。
そしてNo.7が息巻いてるが八雲への襲撃テストは後日に回させて。今彼は中間考査中だ」
「……寛大すぎる処置ですな」
「なんとでも言え。彼女らも本調子じゃない。怪我の回復とNo.6の追跡に全力を尽くすように。いずれ僕も日本へ行く。クボノは……直接僕が処する」
ボスは杖に体重を預け足を引きずりながらなんとか自室までたどり着くと、ほぅと小さく息を吐き扉に手をかける。
こういった場合下手に手を貸すと一気に機嫌が悪くなってしまうため、オリバーはいつもひやひやしながらその背中を見守るしかできなかった。
「……少し休む。3時間後に起こして。No.4と話す」
「もう3日もお休みになられてません。左目の使い過ぎです。3時間などと言わず、もう少し休まれては」
「……ありがとう。じゃあ顯龍に伝えて。もし八雲から連絡があればすぐ僕に教えるよう。彼の事だ。そう遠くないうちに探りを入れてくるに違いない。彼には僕が説明する。恨まれるのは僕だけで十分だ」
「……Yes,boss」
オリバーは渋々目を伏せ頭を下げた。
自室に片足を入れたボスはぴくりと肩を揺らし動きを止めると、そっとオリバーの方を向き直った。
「ねぇオリバー。もし僕に本物のBlack Cubeが宿っていたとしたら、僕は旭小夏も八雲も、誰1人傷つけることなく皆を救えただろうか」
ボスの瞳は歳相応にも不安げに揺れていた。オリバーはゆっくり息を吐くとボスの両目を真っ直ぐに見つめ口を開いた。
「ボス。それはもはや人間の域を超えた、人ならざるものです」
「人ならざるもの……」
「もし旭小夏が取り返しのつかないところまで行ってしまった場合、もはや彼女は人間ではありません。その時……ボスは彼女をどうなさるおつもりですか」
これ以上ボスの心労を増やしてはいけない。それがオリバーの根底にあるにも関わらず彼は口を開かずにはいられなかった。
ボスは一度だけ目を閉じる。そしてゆっくり開くと先程までとは違い強い眼差してオリバーを見つめ返した。
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