mission 3

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「お前……それ、本気で言ってんのか……? 俺らが何にも考えずに……お前や小夏のこと馬鹿にしておちょくってたと……本気で思ってんのか?!」  床に投げつけられた八雲は受け身もとらず体全体を床に打ち付けた。ぐらぐらと揺れる頭をなんとか起こし顔を上げる。  しかし間髪入れずにしゃがみ込んだロイにまた胸倉を掴まれてしまった。 「お前考えたことあるか? 今の自分がどんなに他人から思われていて、大事に扱われて、恵まれた存在かってことを! ボスやエリザの気持ちを考えたことあるか?! 小夏がどんなにお前を好きで、頼りにしてるか考えたことあるか?! 自分1人被害者ヅラして端から諦めてんならな、今すぐこの任務やめてイタリアに帰れ! 邪魔なんだよ!」  こんなに感情的に言葉をまくしたてるロイを八雲は初めて見た。そしてロイ相手に二の句を継げなくなったのも初めてのことだった。 「ボスはああ言ってるがな……ほぼ負け戦なんだ。小夏の未来なんて数%も残されちゃいない。だがな、その数%に俺らはかけてんだ。今だって掴もうと必死なんだよ。現時点で諦めてんのはお前だけだ腰抜け野郎!」  ロイは力任せに八雲を押し倒すとやっと胸倉を掴んだ手を離した。ゆっくり立ち上がり八雲を見下ろす。その目は普段見ることのない、明らかに敵に見せるようなものと同じだった。 「その気がねぇならやめちまえ。小夏に不誠実だ」  そういうとロイは踵を返し、ポケットから潰れたタバコを取り出しながら台所へ戻ってしまった。
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