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でも目の前にいる瑠音を見ていると、衝動を抑えるのに必死になっている自分がいる。
今の俺には妻子がいて、院長のポストも約束されていて、愛人までいるというのに。これ以上、何を求める必要があるというのか。
瑠音は義父の食事の支度などもしてくれていて、まめまめしく動く姿も可愛いらしい。
義母の術後の経過も良好で、多分あと2,3日したら退院許可が出そうだ。
葉琉ももうじき、こちらに来るはず。
ビジネス関連もあり、先に会社の人を一人、こちらに寄越しているらしい。
俺に残されている時間はもうあまりないのかもしれない。
そうなってくると、いろんな計略が頭を巡る。
「瑠音、帰り、ホテルまで送るよ」
面会時間ももうじき終わる。義母は眠っているようだ。
父の食事を用意した後、病院に寄ってからホテルに戻るのが瑠音のルーティンになっていた。
「大丈夫、自分で帰れるよ」
警戒態勢に入ったかな。
「葉琉が来たら、3人で食事でもしようと思ってて。滞在しているホテルのレストランに予約を入れようと思うんだけど、事前に雰囲気とか見ておきたいから、ついで」
「私が予約しておくよ」
あくまでNoを貫くつもり?
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