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(・・・どういうこと!?)
じっくりと窓に映る自分の姿を確認するが、やはり。
そこには僕ではなく、さらさらな長髪をした美少女の姿が映っていた。
「え・・・もしかして、これが僕なの?」
恐る恐る、自分の髪の毛を触ってみる。
窓に映る姿の通り、僕の髪の毛は長くてさらさらしていた。
綺麗な髪の毛だ。
女の子の髪の毛なんて、初めて触ったかもしれない。
それに心なしか、良い匂いがしている・・・気がする。
って、自分の髪の毛に欲情してる場合じゃないだろうがい!
(これは一体、何事・・・?)
僕は、何かの間違いで女の子になってしまったのだろうか?
「何、よそ見しているのよ。やっぱり脱げないって事は、アンタ・・・!」
ミナトが剣を構える。
「ま、待って! 脱ぎます! 脱ぎますから!」
これ以上焦らすと、本当に首を刎ねられかねないだろう。
恥ずかしがっている場合ではない。
とりあえず上半身だけ脱ごう。
もしかしたら、それで分かってくれるかもしれないだろうし。
そう思い、僕は上着を脱いで、そしてシャツも脱ぎ捨てた。
もしかしたら、僕が女の子になってしまったとしたら。
・・・胸があるのでは?
などと思い、自分の胸を確認する。
・・・まっ平らだった。
もちろん、女性用の下着など付けている訳もなく、胸はそのまま丸見えである。
「あっ・・・なるほど。それは確かに、同性でも見られるのは恥ずかしいかもしれません」
黒髪の少女・ヒノは、憐れみの目で僕を見ていた。
そ、それはどういう意味の恥ずかしいなのだろうか。
ブラをしていないから? それともまっ平らだから?
・・・なんだろう、ただ裸を見られるよりも、ずっと恥ずかしい気がしてきた。
僕は恐る恐る、窓に移る自分の姿を確認する。
「あぁ・・・」
上半身が裸の女の子が映っていた。
何故だろうか。
自分の姿なのに、見てはいけない気がして、つい目を反らしてしまった。
「あ、あの・・・もう服を着ても良いでしょうか・・・」
「ダメよ。下も脱ぐに決まってるじゃない」
「え、えぇ・・・!」
僕が否定的な声を出した途端、ミナトがまた剣を構える。
その動作に、思わず身体がびくりと跳ねる。
「仕方ないから、下着は脱がなくても良いわ。でもズボンは脱いで」
「は、はい・・・」
背に腹はかえられない。
意を決して、僕はズボンを下した。
下着は、もちろん男性用のボクサーパンツであった。
着ている服は、何も変わっていないらしい。
「あ、あれ?」
そこで、僕はとある違和感に気付いた。
本来なら別に気にする事じゃないのだが、今の僕がもし女性になっているのだとしたら・・・。
そうだとしたら、それは明らかにおかしい「違和感」である。
気のせいだろうか。
僕の下半身の前側が、少し膨らんでいるような。
・・・ちょっと待ってほしい。
僕は先程、ようやく「自分が女の子になってしまった」というとんでもない現象を受け入れたところだ。
なのに、何故またここで、混乱する出来事が起きてしまうのだ?
僕にはもう、何が本当で何が嘘なのか分からない。
「・・・アンタ」
ミナトが僕の下半身を凝視してくる。
「あ、あのっ・・・」
流石に、股間部分を女の子にじっくり見られるのは恥ずかしい。
僕は咄嗟に手で下半身を隠した。
「アンタ、やっぱり・・・!!!」
それがマズイ行動だと気付いた時には、遅かった。
彼女には、僕がパンツに武器を隠し持っている様に見えたに違いない。
そして気が付いた瞬間には、ミナトは僕の後ろに回り込んでいて、そして下半身を隠してたはずの僕の両手は拘束されていた。
「やっぱり。いかにも暗殺者が隠しそうな箇所だわ。けど、相手が悪かったわね! 私の目は誤魔化せないわよ!」
「ま、待っ・・・!」
そして。
ミナトは片手で僕の股間を鷲掴みにした。
「あ・・・」
「え・・・?」
数秒程、時が止まったかの様に、お互いに沈黙する。
「え、こ、これって・・・」
ミナトがぽかんとした顔で、僕を見る。
「あ、アンタ・・・男ぉぉぉ!?」
「ひ、ひゃぁぁぁ!!!」
ミナトに合わせて、思わず僕も叫んでしまった。
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