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そして、突然の襲撃者と魔物
「あら、次のお客さんは可愛らしいわね?」
女性はこちらに気がつくと、この沢山の死体が転がってるという状況で、にこりと笑った。
「どこかで見たことあるわね。確か、お国で有名な騎士さんだったかしら?」
女性の手には、鉤爪の様に曲がった形状の刃物が握られていた。
「あいつが、例の殺人鬼ね・・・!」
「その様ですね」
ミナトとヒノの二人は、女性を睨み付ける。
なるほど。
どうやら、この二人の少女は、この殺人鬼の女性を探していたのだろう。
それで、僕の事をその殺人鬼ではないかと思い疑っていたらしい。
「騎士のお嬢さん達。腕に自信があると聞いているけど、二人だけで私に勝てるのかしら?」
女性は挑発するように色っぽく笑う。
「随分と自信家ね。悪いけど、私たち二人だけどは言ってないわよ」
すると、外で慌しい足音が聞こえる。
「あら?」
そしてホールの扉が乱暴に開き、数人の兵士達が姿を現した。
「まぁ、私達二人でも十分勝てるだろうけど、途中で逃げられても困るからね。外は完全に包囲させてもらったわ」
窓の外には兵士達の姿が見える。
どうやら、援軍は今入り込んできた兵士達だけではないらしい。
大勢の兵士達がこの建物の周りを囲い込んで、完全に包囲している。
「沢山の仲間を殺した罪は償ってもらうわよ。この殺人鬼め!!!!」
ミナトの握る剣の刃が、眩い光の粒子に覆われる。
僕にはそれが一体何なのか理解出来ないが、間もなくここで戦いが始まるのだろう事は理解出来た。
(・・・やばい)
どうしよう、ここにいたら戦闘に巻き込まれてしまうだろう。
何処かに逃げなきゃと思い、こっそりと二人から距離をとっていると。
「うふふ。ところで、私も一人だけとは言ってないわよ?」
「なんですって?」
それを聞いて、ミナトとヒノの二人が、キッと僕を睨む。
「ち、違う! 違うから! 僕は何も関係ないです!」
「そんな言葉、信用すると思ってるの!? もし妙な動きをしたら問答無用で切り刻むわよ!? いい!?」
なんて理不尽なのだろう。
その時、地震でも起きたのか地面がぐらりと揺れる。
「っ・・・!?」
地震は一瞬で収まったが、しかし。
バリン!!! と窓ガラスを突き破って、一人の兵士がホールの中に入り込み、そして床に転がり落ちた。
「なっ!?」
その兵士は手足があらぬ方向にへし折れている
最早、息はないだろう。
割れた窓からは、黒く長い何かが不気味に蠢いているのが見えた。
「・・・今のは、魔物!?」
ヒノが呟く。
「ふふふ。紹介するわ」
そして、バキバキバキ!!! とホールの壁を突き破り、黒い巨大な生命体が姿を現す。
その姿はまるで巨大なタコの様で、身体からは大きさの異なる触手が幾つも生えている。
その胴体の上部には、鋭い牙の生えた大きな口が開いていた。
「私のお仲間よ。名は"魔海"」
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