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ミナトとヒノの二人が剣を構え、殺人鬼の女性へと接近する。
ミナトの振るう"三重想"と、ヒノの"魔炎手"によって操られた炎が女性を襲う。
二人を相手に互角に切り結ぶあの女性も相当な強さだが、しかし流石に防戦一方。
ホールの中を逃げ回り、二人の攻撃を防いで避ける。
しかし、そんな女性の顔には少しも焦りが見れない。
それどころか、逆に笑っていた。
「このっ・・・!」
ミナトの振るう剣と、女性の振るうナイフが鍔迫り合う。
「ふふふ。それじゃあ、私も少し本気を出そうかしら」
女性がそう言った瞬間。
「ぐっ!? 何よ、脚がっ・・・!?」
ミナトの身体が、ぐらりとふらつく。
「そろそろ効いてくる頃かしら?」
女性は、ミナトがふらついた隙を逃さず、蹴りでミナトを突き飛ばす。
「ぐあっ!?」
ミナトに小柄な体が、床を転がる。
だが、床に倒れこんだミナトは直ぐに身体を起こし、よろめきながらも落ちた剣に手を伸ばす。
しかし女性がその剣を遠くへ蹴り飛ばしてしまう。
ミナトの伸ばした手は、剣を掴み損ねてしまった。
「あら、残念。そしてさようなら」
そして、女性はミナトへ向けナイフを振り下ろす。
「ミナトさんッ!!!」
だが、ヒノの操る炎が、女性の握るナイフを弾き飛ばす。
そしてヒノ自身も剣を振り上げる。
今度は、ヒノの剣と女性の握るナイフがぶつかり合う。
「・・・っ! こ、これは・・・!」
その時、ヒノが何かに気付いたらしい。
だがその瞬間、女性の放った蹴りがヒノの胴体を捉える。
「うぐっ・・・!」
突き飛ばされたヒノは3、4回ほど転がり、床に倒れこんだ。
「どう? 気付いた? 私の魔法が何なのか」
ふふふ。と笑う女性。
先ほどまでは気付かなかったが、女性の周囲には紫色の粒子が舞っていた。
「毒!? いいえ、呪いの類ですか・・・!」
「正解。私の得意魔法は、相手の身体に働きかけて動きを阻害する"呪い"よ。私に近付くほど、その効き目は増す」
床に倒れるヒノへ、女性が近付く。
だがその瞬間。
女性の周囲を、凄まじい勢いで炎が多い尽し、渦を巻く。
「・・・言ったはずです。私は魔法を"掴んで"炎に変換すると。それは貴女の呪いとて例外ではありません・・・!」
凄まじい勢いで炎が燃え盛り、殺人鬼の女性を呑み込んだ。
やがて、炎の勢いが収まってくると。
「・・・っ! いない!?」
そこに居るはずの女性の姿が消えていた。
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