蛇っ子降臨

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蛇っ子降臨

一方その頃、成田空港に恐ろしい幼女が帰国し、たまたま乗り合わせていた静也は、巨大な荷物を背負わされ、空港の廊下をヨタヨタ歩かされていた。 「重い。大きさといい、これは何ですかお嬢様?」 「向こうで仕入れたただの古本よ。プリンピキアとその出典その他よ。暇つぶしに読んどこうと思って。ちゃっちゃと運べ犬。マッシャーに逆らうな。屠殺するぞ」 勘解由小路碧(かでのこうじジャスパー)は傲岸に言い放った。 のどかに帰国しようとした静也の背中に蹴りを入れたのがこいつだった。 とっととファーストクラスに乗り込んだ幼女の無茶なリクエストに応える羽目になった。 「だし巻き卵はないって言ってるのに。ドイツですよ」 「知るか馬鹿犬め。私の尻の匂いを嗅がせてやったのに。何が不満だ?」 頭をシートがわりに座っただけだ。 莉里以上の無体があった。 「人の頭座布団にしてグースカ寝られても。紀子の尻以外嗅ごうとは思わないのに」 「知るか。私の役に立て。家まできちんと運べ」 勘解由小路にそっくりな娘の姿があった。 しかも凄くイラついているのは何故だろう。 突然帰ると言い出したのだった。この蛇っ子は。 「おい犬っころ。ハイヤーはどうした?この私をバスや電車に載せる気か?別に構わないわよ。言語に尽くしがたい屈辱を与えてやろう」 口調まで父親に似ていた。 「手配するんでちょっと待ってください。古本専用のトラックも用意しますから」 「リムジンタイプにしとけ。上手く出来たら腹を撫でてやろう。失敗したら腹を裂く。さっさとしろ。お前も排泄物扱いしてやろうか?」 最低な気分だった。
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