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淫靡な肉
城の中庭には大きなグリルがあって、それを取り囲む木のテーブルがあった。
恐ろしくハイセレブなバーベキュー会場があった。
設置された大型スピーカーからはケニー・バレルのロータスブロッサムが穏やかなサウンドスケープを醸し出していた。
賑やかなバーベキューの雰囲気は微塵もなく、4人の男女が過ごす静かで淫靡なひと時があった。
というより淫靡さを演出しているのはどう考えても前回の事件の最大の功労者の2人だった。
グリルで香ばしく焼かれた肉をサーブするプリプリした尻が二つあった。
どちらも見覚えがあった。内一つは自分が掴んだ尻である訳だし。
昨日は確かにホットな夜だった。お陰で少し腰が痛かった。志保はあえなく安定期を迎えていた。
恐ろしく豪華なリクライニングチェアに腰掛けて、勘解由小路は膝の上に乗せた真琴とイチャイチャ肉を食べさせ合っていた。
「どうでしゅか?おいちいでしゅか?大しゅきな降魔しゃん」
「うん。美味しすぎてオス蛇ちゃんが元気になっちゃいそうだ。そっちはどうだ?島原のオス蛇ちゃんの様子は?」
「応えると思ったのかお前は!ああ志保、君まで膝の上か。うう」
膝の上に柔らかい尻の感触があった。
「私だってこんな経験アリだと思うの。雪次君アーン」
出された肉は柔らかく、恐ろしく美味かった。この前志保が貰ってきたという肉よりも更に高く感じた。
「志保さんは頑張ったんですから。女達の頑張りに応えるのが男性の務めでしゅ。美味しいショコラタワーもきっと今頃平らげられていることでしょうね。ああ美味しい。口の中で蕩けてしまいそうでしゅ」
「それ俺が齧った食べかけの肉だがむむ。んー。ああー!口の中をかき回す真琴の舌最高だ!愛してるぞ真琴!まだ子供欲しいのか?」
「はい。赤ちゃんくだしゃい」
真琴がビキニパンツの紐を解いた。
「ここでするなお前達!志保!珍しくセパレートな水着を着ているが、ああ、うん。大きくなったなお腹が」
そっちはそっちでテーブルに横たえられた真琴に覆い被さる勘解由小路がいた。
「大学時代は不発だったがいいだろう島原。スペインの元王族の娘の時だ。お前にはアマンダがいただろう。お前がブチ切れてアパート出て行ったから仕方なく2人美味しくいただいた思い出があいた!噛むなよ真琴。ただの昔話じゃないか。眼鏡もその気になってるぞ。仲良くしとけ。ああでも痛い。噛まれてる。左肩から鎖骨の辺りガジガジされちゃってる。可愛すぎておかしくなっちゃいそうだぞ。いただきまーす」
猛然と覆い被さる勘解由小路を尻目に、志保は同じようにテーブルに横たわった。
「ちょっと恥ずかしいけど、向こうは気にしないみたいよ。王族は下々の痴態は関心の範疇外らしいわ。雪次君。どう?」
志保はブラトップの肩紐をずらした。腹を締め付けるはずのワンピース水着ではなく、腹が剥き出しになったセパレート水着は、確かに島原の心を浮つかせていた。
白い双丘から下に向けて伸びるウエストを経て、下腹部は命の萌芽を得て艶めかしく膨らんでいた。
「何か、ふわふわしちゃったわ。来て。雪次君」
こっちまでクラクラしてきた。島原はすぐ隣でイチャイチャしている馬鹿夫婦を尻目に、志保に覆いかぶさろうとした。その時、
「ぎゃあああああああああああああ!!雄しべと雌しべかああああああああああああああああああああああああああ!!!」
「まあ、莉里ちゃん」
妙に詳しい幼児の乱入で、何かに操られたような二夫婦の淫靡な乱交劇は未遂に終わった。
残念なようなホッとしたような気分だった。
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