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「おじさんだろ?」 学生で混み合うカフェテリアで、神﨑蒼(かんざきあおい)は鼻を鳴らした。 「確かさんじゅう…いちには余裕でいってるはずだよな、あの先生」 大盛カツカレーをスプーンでひと掬いして、蒼は大きく開けた口の中に収めた。 「今年大学に入学したばっかの俺らからしたら、おじさん以外の何者でもない」 カレーを咀嚼し終わり、蒼はコップの水を一気に飲み乾した。 ひと呼吸置き。 それから向かい合って座っていた人物を見据え、とどめのひとことを放つ。 「ひと回りも離れたおじさんを好きとか、お前の男の趣味一体どうなってんだよ」 小馬鹿にしたように嗤われ。 目の前に腰を下ろしていた涼風(すずかぜ)千愛(ちあ)は、怒りを爆発させた。 「蒼、あんたね…!」 両手でテーブルを叩き、身を乗り出す。 隣りに座っていた男子グループが驚いたようにこちらを窺ってきたが、この際どうでもいい。 今まで黙って聞いていたが、我慢の限界だった。 自分の事はともかく、彼の事を侮辱されたままではおられない。 それは絶対、許し難かった。
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