僕の話

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● 小学5年生のバレンタインデー。 この年も、彼女だけが知ることができるような方法で贈るつもりだった。 しかし…… 僕は、男子生徒から質問を受けた。 一昨年は昨年は、彼女に逆チョコレートを贈ったのか、と。 そして、 今年は、彼女に逆チョコレートを贈るのか、と。 否定をすることもできた。 けれど、男子生徒は、同じクラスの仲間であり友人でもある。 否定をすれば、嘘を吐くことになる。 僕は、真実を答えた。 …… 男子生徒は、教壇で暴露していた。 けれど、この結果を予知することができていたとしても、僕は嘘を吐かなかっただろう。 同級生達から、陰口を叩かれていることは知っていた。 今日、それらの悪言を、面と向かって浴びせられた。 間接的であるか直接的であるかとでは、受けるダメージが大きく違った。 …… そんな同級生達を引き受けたのは、彼女だった。 彼女は、男子生徒と教壇の前に立つと、言った。 「私がお願いしてるの。 ――私はチョコレートが好きだから」 この言葉は、同級生達を戒め、教室内を収めた。 この言葉は、真実だ。 けれど…… もし、他にも真実があったとして、そちらの言葉を選んでいたとしたら…… きっと、認められなかっただろう。
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