僕の話

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● 小学6年生のバレンタインデー。 彼女に逆チョコレートを渡す方法を決められぬまま、登校した。 全ての人の目が僕を捉えているかのように感じる。 そんなことは無い。 そんなことは無くは無いかもしれない。 彼女に逆チョコレートを渡せぬまま、下校時間を迎える。 すると…… 驚いたことに、彼女が僕の元にやって来た。 場所は、図書室。 本を貸す当番であった僕の元に、本を借りる利用者として。 彼女は普段、滅多に本を借りることがない。 彼女が今日、借りようとした本も、彼女の興味を引く内容ではなかった。 つまり…… 彼女は、僕に会うためにやって来た。 僕から逆チョコレートを受け取るためにやって来たのだ。 僕は、本と共に、逆チョコレートを渡した。
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