僕の話

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● 小学校を卒業する。 僕と彼女は、同じ中学校へと入学した。 中学校では、小学校ではなかった組分けがあった。 僕は、彼女と同じ組には入れなかった。 僕が彼女と関わることは、殆ど無くなった。 教室が違う、それだけが理由ではない。 性別が違う。 そして、部類が違う…… 生徒達は、どこかしらなにかしら、自分と似た人同士で塊を作った。 僕のグループと彼女のグループは、そぐわない。 そもそも、僕はグループにもなれていなかったのかもしれない。 彼女とは最早、別世界に居るかのようだった。 ――― 中学1年生のバレンタインデー。 この日の放課後に、僕は追試を受けることになっていた。 そして、彼女もそうだということを、僕は知っていた。 受験場所である教室に着く。 しかし、彼女の姿は無い。 彼女は、部室に行った後にこちらに来るとのこと。 追試を終えた生徒が退出していく。 教室には、僕と、試験を監督する先生のみとなる。 教室へと足早に向かう彼女を、窓の外に見る。 彼女がこの教室に着くまで、あと…… 僕は、席を立つ。 そして、彼女が試験を受ける席へ。 僕は、その椅子の上に、逆チョコレートを置いた。 ……先生に一瞥をくれる。 先生は、何も言わずに目を反らした。 彼女が教室に入るのと同時に、僕は教室を出た。
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