僕の話

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● 高校3年生のバレンタインデー。 僕は逆チョコレートを、彼女に直接渡そうとしていた。 待ち合わせてはいない。 一方的に見付けようとする。 …… 彼女を見付けた。 馴染みのない街中で…… 見知らぬ友達と会話し、見知らぬ制服を着こなし、そして見知らぬ笑顔だった。 彼女が、新しい人生を歩んでいることを思い知った。 抱えた逆チョコレート、それは原点に還ったかのような作品だった。 小型のアルミカップに、これまでに作った各々のチョコレート菓子を収めている。 どうして、このような贈り物にしたのだろうか。 それは、彼女と会うから。 もしくは……彼女と会えなくなるから。 ――― この年、僕は彼女に逆チョコレートを贈ることができなかった。
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