僕の話

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● 高校を卒業する。 僕は、専門学校へと入学した。 彼女は、海外の大学へと入学した。 それを、本人の口からは聞いていない。 ――― 専門学校1年生のバレンタインデー。 当然のことながら、僕は彼女に逆チョコレートを贈ることができなかった。 ……そう、 逆チョコレートは作っていた。 ――― バレンタインデー翌日。 僕は、校内の空き教室で、友人と課題に(いそ)しんでいた。 僕にとっては最も親しいこの友人は、女性だ。 けれど、友人以上の関係になることは無い。 明らかな理由が、この友人が同性を恋愛対象としていること。 その事実を、隠すことも気に病むこともしない。 ありのままの友人と接することは、心が楽だった。 そんな友人に、逆チョコレートの話をした。 笑ってくれて構わなかった。 むしろ、それが相応しいのではないかと思った。 けれど、友人は笑わなかった。 一途であると感心することも、想いは途切れたのだと同情することもしなかった。 僕との交友関係を解消することを望みもしなかった。 友人の第一声はこれだ。 「あんたは、彼女が好きなの?」 …… 一瞬の憤り、そして諦め。 笑ったのは僕だった。 けれど、やはり友人は笑わない。
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