私の話

3/25
前へ
/58ページ
次へ
私と彼を通して、家族ぐるみの付き合いをするようになった。 私は思った。 「家族みたい」 本来の家族。 本当の家族。 …… その思いが、恐ろしい意味を持っていたことに気付いたのは…… "現実" になってからだった。 「家族みたい」だと―― "思った"、それだけ。 望んだ訳じゃない。 願った訳じゃない。 でも、 その思いは見透かされた。 神様に。 それも、悪い神様に。 "家族" とは、つまり…… 彼がきょうだい、 彼のお父さんが父親、 そして、私の母が母親だとするなら…… ……彼のお母さんは、居なくていい。 私は、私の母のことが好きだけど、 彼のお母さんのことも好きだ。 居なくていいだなんて、思う訳がない。 望む訳がない。 願う訳がない。 それなのに…… …… 彼のお母さんは、居なくなってしまった。 彼から、初めて逆チョコレートを貰ったバレンタインデーに。
/58ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加