私の話

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同級生や友人に知られないように。 何より、父と母に知られないように。 両親の目に入らなければ、家で贈ろうと問題はなかった。 でも、ほんの僅かでも、"家族" を想いたくはなかったのかもしれない。 ――彼の世界は小さい。 その世界で、彼は私に逆チョコレートを贈る。 もしかすると、 ――彼が私に逆チョコレートを贈るから、 彼の世界は小さいままなのかもしれない。 ― ―― ――― ねぇ、 逆チョコレートには、どんな思いが込められているの? 最初の逆チョコレート以外……わからないよ。 でも、確かなことがある。 それは、 彼が作る逆チョコレートが、全て美味しいということ。 そして、 全て "彼らしい" ということ。 ――― 彼から貰った逆チョコレートは、全て憶えている。
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