私の話

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○ 小学1年生のバレンタインデー。 "逆チョコレート" 言葉とその意味は何となく知っていたけれど、それを身を(もっ)て知ることになるなんて思いもしなかった。 私は驚いた。 小さなアルミカップに流し込まれたチョコレート。 チョコレートの上には、溢れんばかりのトッピング。 目の中でゴテゴテ。 口の中でゴロゴロ。 見た目も味も、"いい" とは言えなかった。 でも、 溢れんばかりの私への思いと、 溢れんばかりの私への笑顔。 それが最早、溢れてしまっていて―― 私は嬉しかった。 「また頂戴」と、子供らしくねだるくらいには。
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