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その原因はわかっている。
それは夏休み前のこと、中学から仲の良い美弥ちゃんが学校の帰り道に教えてくれたんだ。
ーーーどうやらサッカー部のマネージャー、亜也斗狙いらしいよ。
って。
ーーー亜也斗狙いってどういうこと?
ーーーどうもこうも亜也斗の彼女になりたいって事でしょうが。
そう言って私のおでこをペチッと叩く美弥ちゃんは中々のスパルタだ。
ーーー彼女…亜也斗の?
ーーーそっ、あんた知ってる?亜也斗、結構、人気あるんだよ。この前も一年の女子が告ったとかって噂だよ。あんた嫁としていいのか?
ーーーよ、嫁って…
黙っていればお人形さんのように整った綺麗な顔の美弥ちゃんは実はとても世話好きで、若干、おばちゃん的な要素が…
ーーーあんた聞いてんの?
ほらね。
ーーーう、うん。知らなかった。そうなんだ。亜也斗がねぇ。へぇ。でも、ほら、私達、ただの幼馴染みだし?亜也斗が誰と付き合おうと私がとやかく言ったりとか…
ーーーそれ、本心?じゃあ、例えば私が亜也斗好きだって言ってもいいわけね?
ーーーえっ…美弥ちゃん?
ーーーそれは冗談だけど、この先、そういうこともないとは言えないでしょ?のんびり構えてると知らないからね。
その言葉を残して美弥ちゃんはいつもの分かれ道まで来ると手をひらひらさせて帰っていった。
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