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「はぁっ……んう……ちゅっ……」
お互いの唾液を混ぜ合わせるように、舌を懸命に絡みつけていく。
斐月の舌先が僕の舌表面のざらざらを舐め上げていき、そのお返しに僕は、斐月のうねる舌に自分の唾液を強く塗り付ける。
異性と体液を交換する官能的な感覚。病みつきになりそうだ。
斐月も興奮してきたのか、より強く僕にしがみついてディープキスを求めてきた。
僕はそれを懸命に抱きとめて、自分の舌で応え続ける。
「……ぷはぁ……」
顔を赤らめた斐月の唇から、唾液が糸を引いて垂れ落ちた。
湿った息が吹きかけられ、僕の下腹部がゾクリとする。
僕は幸福で失神しそうになりながらも、ふと冷静に思考して言う。
「こんな風に、昔好きだった女の子と親密になれるなんて……やっぱり全部、僕の夢なんだよね……。こんな幸せあるわけないから……」
「……もう、こんな所で冷めること言わないでください」
斐月は拗ねて、僕の頬を思い切り引っ張った。
「いてぇ! 痛い、痛いよ!」
「夢なわけないじゃないですか。私の想いを愚弄しないでください。もう、竜崎さんったら……」
僕はひりひり痛む頬を庇いながら、斐月に頭を下げる。
「あの、いや、ごめん……。あまりにも展開が急すぎて……斐月さんって、やっぱり……こういうの慣れてるの?」
「もう一回、キツくつねってあげた方が良いですか? 私も初めてですよ。竜崎さんの思い出が強すぎて、他の男性と付き合いたいなんて気持ちはちっとも湧きませんでしたから」
僕は驚いて顔を上げる。
「え! 今の斐月さんならモテそうなのに……」
「私は竜崎さんが良いんです。私だって、竜崎さんとまた会えて嬉しいんですから。……それに、私にも性欲はあるんですよ?」
彼女は顔を赤らめて、腰をもじもじと動かす。
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