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すると石鎚は嬉しそうに舌をピロピロ動かして、僕を見つめた。
「そっかあ。私を心配してくれてるんだ。すごく嬉しいなあ。ちょっと濡れちゃった」
石鎚も相当な変人だ。返答を誤ったかもしれないと思ってしまったが、もう戻れない。
「いいよ、合格だよ竜崎。私とエッチする権利をあげる。プレイ内容にNGは無いよ。どんな感じが良い?」
「待て、待ってくれ……。石鎚の性癖については関与しないが、今はそういう場合じゃない。僕は外に出たいだけなんだ」
「外に出したいの? 竜崎なら、ナカに出しても良いよ」
「からかうなって! とりあえず、自分の身体は大切にしてくれ。何で今こんな話をしてるんだよ僕は……」
するといきなり、石鎚は僕のズボンの股に人差し指を滑らせた。
反射的にゾクリとする刺激が突き抜けて、間抜けな声が出てしまう。
石鎚はニヤァと気色の悪い笑みを浮かべた。
「ムラムラしてる雄の匂い、私には分かるよ。さては、直前まで恋人とイチャイチャしてたでしょ。でもエッチは未遂に終わった。可哀想だね。私がここで、すぐヌいてあげよっか」
「待て待て、いい加減に……!」
僕が困り果てていた時、むすっとした表情の斐月に腕を掴まれた。
「もう、竜崎さん! なんて話してるんですか、いい加減にしてくださいよ。いきなり浮気なんて、いい度胸してますね」
「違うって! 誤解だから……!」
拗ねた斐月に力強く引っ張られ、僕は強制的に石鎚から離されていく。
振り返って見ると、石鎚は「またね」と舌を出しながら悠々と手を振った。
すっかり、いいようにからかわれてしまった。情けないことだ。
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