「サバイバーズ・ゲーム」

3/21
940人が本棚に入れています
本棚に追加
/157ページ
 すると石鎚は嬉しそうに舌をピロピロ動かして、僕を見つめた。   「そっかあ。私を心配してくれてるんだ。すごく嬉しいなあ。ちょっと濡れちゃった」  石鎚も相当な変人だ。返答を誤ったかもしれないと思ってしまったが、もう戻れない。 「いいよ、合格だよ竜崎。私とエッチする権利をあげる。プレイ内容にNGは無いよ。どんな感じが良い?」 「待て、待ってくれ……。石鎚の性癖については関与しないが、今はそういう場合じゃない。僕は外に出たいだけなんだ」 「外に出したいの? 竜崎なら、ナカに出しても良いよ」 「からかうなって! とりあえず、自分の身体は大切にしてくれ。何で今こんな話をしてるんだよ僕は……」   するといきなり、石鎚は僕のズボンの股に人差し指を滑らせた。  反射的にゾクリとする刺激が突き抜けて、間抜けな声が出てしまう。  石鎚はニヤァと気色の悪い笑みを浮かべた。 「ムラムラしてる雄の匂い、私には分かるよ。さては、直前まで恋人とイチャイチャしてたでしょ。でもエッチは未遂に終わった。可哀想だね。私がここで、すぐヌいてあげよっか」 「待て待て、いい加減に……!」  僕が困り果てていた時、むすっとした表情の斐月に腕を掴まれた。 「もう、竜崎さん! なんて話してるんですか、いい加減にしてくださいよ。いきなり浮気なんて、いい度胸してますね」 「違うって! 誤解だから……!」  拗ねた斐月に力強く引っ張られ、僕は強制的に石鎚から離されていく。  振り返って見ると、石鎚は「またね」と舌を出しながら悠々と手を振った。  すっかり、いいようにからかわれてしまった。情けないことだ。
/157ページ

最初のコメントを投稿しよう!