「サバイバーズ・ゲーム」

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 頚城も石鎚も、まるでこの先に待ち受ける争いを予期しているようではないか。嫌な予感がする。  しかし自分たちは獣ではなく、理性ある人間だ。  そんな簡単に戦いが起こってたまるものか。 「竜崎さん、大丈夫ですか? 顔が真っ青ですよ……」 「あ、ああ……大丈夫だよ。斐月さんは、必ず僕が守る。安心して」  そう無理に胸を張ってみせると、斐月はクスッと笑った。 「それは、こっちの台詞ですよ竜崎さん。今度は私が、竜崎さんを守る番ですからね」 「斐月さん……」  二人で見つめ合っていた所で、今度は内海がドカドカとやってきて僕の隣に座ってきた。 「おいおい! 何の話をしてんだよ! 私も混ぜろい!」 「何でだよ! 放っておいてくれよ……」 「はぁ? 私には冷たいんだな、ちくしょう。私だって普段、仕事で竜崎を支えてやってるんだからな。そこんところ、理解しろよな」 「事実を都合よく改竄するな。山ほどやらかしたお前のミスを僕がフォローしてやってる、の間違いだろ」 「大した違いはねえだろ。私を差し置いてイチャイチャされると、なんかムカつくんだよ。第一、彼女の気配なんて今まで全く匂わさなかったくせに……」  酔っ払い同然に絡んでくる内海を煙たがっていると、斐月はわざとらしく僕に抱きついて頬に軽くキスをした。 「善良な竜崎さんは、私生活と仕事はきっちり区別してますから。何処かのヤンキーくずれと違って」 「ヤ、ヤンキーだとぉ!? 言ってくれんなこのアマ……! 言っとくけどな、もう私はそういう悪い付き合いはきっぱり止めてんだ!」 「そうなんですか? でも、竜崎さんはあなたみたいな不良じゃなくて、私みたいな清純派が好みなので」 「言ってくれんな、こいつ……!」  不毛な言い争いが始まりかけた時。  突如、場に大音響のオーケストラ音楽が流れ始めた。  勇ましく荘厳な曲調で、まるで軍隊の行進曲だ。 「何だ……?」
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