「サバイバーズ・ゲーム」

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「竜崎さんったら……私のせいで、変な気分になっちゃってるんですよね。竜崎さんの性欲を刺激し過ぎた私も迂闊でした」  石鎚から充分に離れた壁際に腰掛けて、斐月は盛大な溜め息を付いた。 「もうその話はしないで良いって……色々、思い出しそうになるし」  斐月の側に居ると、否が応でも彼女の身体の柔らかさを思い出してしまう。  騒動で雲散霧消していたと思われていた性欲が、石鎚のせいでまた蘇ってきそうだ。    頭の中で素数を数えてどうにか冷静さを保とうとする僕を見かねて、斐月がそっと耳打ちする。 「……竜崎さん。もし二人っきりになれる時があったら、さっきの続き、してあげてもいいですよ」 「へ?」 「私も邪魔が入って、変な気分なんです。こんな状況なのに、竜崎さんが恋しくて」  頬を赤らめてもじもじとする斐月を見て、僕は生唾を飲み込む。  極限状態でも、人間の性欲というものは不変だ。  「おおー、何だか楽しいコトをしてるようじゃなあ。わしも混ぜておくれ」  そんな空気を読まない台詞と共に僕の隣に座り込んできたのは、『変人一号』。  頚城九頭子(くびき くずこ)。  旧ドイツ軍装三人組のリーダー格である、白髪ロングヘアの女。  近くで見ると彼女も顔立ちが整った美人だが、吸血鬼を思わせるカラーコンタクトの紅い瞳と、鋭い付け牙が、不気味さを増長させている。  何かのキャラクターのコスプレかもしれないが、こんな状況でも役柄に入り続けている神経は理解しがたい。 「何の用だ?」 「そう邪険にするでない、宇宙人……もとい、竜崎。わしから、とっておきのプレゼントじゃ」
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