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奴らは。
殺されて然るべき存在なのだ。
わたしは何時までも恨む。地獄に落ちたとしても恨み続ける。奴らこそが害悪なのだと、死んでも訴え続ける。死んでも絶対に許しはしない。
憎悪に燃える目が開かれた刹那、彼女の闇に呼応したが如く床が抜ける。足場を失った身体は床下に吸い込まれ、数メートル先で静止した。
晴天を願うお呪いの道具と化した彼女が自らの意思で動くことは、二度としてない。最期の最期まで彼女を満たしていた黒い感情は、一体何処へ向かうのだろうか。
斯くして世を揺るがし、恐怖に陥れた女死刑囚は――世間の望みとは全く異なり、あっさりと呆気なく死を迎えたのだった。
そして誰も知らなかった。この死刑執行が、こことはまた別の世界で多大なる影響を与えることになる、ということを。
彼女の死の間際の黒いサケビが、確実に届いていたことを。
そう――彼女でさえも……。
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