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「……俺がこの世界に来る迄の流れは大体こんな感じだ。羅維納には、昔少しだけ話したことがあったな」
回想から戻って間もない中で唐突に話を振られ、羅維納は心臓が飛び跳ねそうになるのを感じつつ終の方へ向き直った。終のみならず、他の仲間達の視線と関心を受け、気分を切り替える意味で小さく咳払いをする。
「……そうですね。昔少しだけ聞きました。でも今改めて聞くと……何だか不思議な感じがします。話の中に、初耳だったものも多かったので」
言って、自分の言葉を脳内で反響させる羅維納。
――本当に、驚きだった。終が大和として生きていた時の生活環境。読心能力のこと。家族とのこと。そして、史星との密な繋がり。
自分と仲間達とはまた異なる終の人間関係の存在は、只ひたすらに衝撃的で。口からもっともらしい言葉を引き出すのに精一杯だった。 他の仲間達は、どの様に感じたのだろうか。隣の冬実へ尋ねようとした矢先――まるでそれを予期していたが如く、冬実が口を開いた。
「まあ……あんたが死神界へ来たきっかけはこれで分かったわ。史星の方も何となく理由が想像つくわね。詳しくは本人に聞く必要があるだろうけど、十中八九あんたが絡んでいるのは間違いないと思うわ」
冬実の話に、柊と綺更も頷いてみせる。
「終さんと史星さんにそんな過去があったんですね……」
「にしても、あの人はどんなきっかけでここへ来たんでしょうね。自殺? ……ってタマじゃなさそうですけどっ」
「……それは史星に聞いてみないことには何も。取り敢えず、お前達も知っているだろうが三日後だ。その時に確認する心算でいる。今は憶測でしか言えないが……俺も冬実の意見で合っていると思う」
綺更の疑問に、椅子へ深く腰掛け直しながらため息混じりにいつもの調子で答える終。動きに合わせて椅子が軋み、相まって気怠さを醸し出していた。
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