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「今しがた……つい、そこで『吸血騒ぎ』があったんだ。ここ最近、連続して発生しててよ……オレ達はその『犯人』を追っている。お前、『心当たり』は無いか?」
人影は表通りから煌々と射し込むネオンライトを背にして立っているから、その表情を伺い知る事は出来ない。
だが、はっきりと分かる事もある。
「……お前、目撃者の証言と特徴が一致するなぁ。よくよく見るとよ」
そう嘯きながらコートから引き抜かれる右手には、『大型拳銃』が握られていた。
「うぅ……! そ、そのデカいハンドガン、S&WのM29か!? て、てめぇ……『桐生ハヤト』だな! 亜人検察庁のっ!」
思わず、『男』がたじろぐ。
「ほう……知ってんのか? オレを。なら、話は早くていいや。亜人特別措置法における吸血罪、並びに殺人の容疑で、お前を逮捕する」
ジャキ……。
44口径の黒い銃口が、男に向けられる。
「ぐ……っ!」
男が辺りを見渡す。
「ムダなあがきは止すんだな。お前は此処へ『逃げ込んだ』んじゃぁねえ。オレ達によって『追い込まれた』んだ。此処なら『何かあっても』確実に仕留められるからな……」
「うるせぇ!」
男が、激しく左右へ首を振る。
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