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如何にハンドガンとは言え、44口径ともなると武器というより兵器とすら言えるほどの破壊力があると言っていい。
男は顎から上を木っ端微塵に爆散させ、そのまま冷たいアスファルトに崩れ落ちた。
「銃声がしたぞ!」
「急げ、そっちだ!」
付近を捜索していた警察官が、慌てて集まって来る。
「桐生検察官! 大丈夫ですかっ!」
「……ああ、何ともねぇよ。 毎度の事だが最後は『抵抗の末、射殺』だ。後は頼むわ」
銃口から吹き上がる白煙をフッ……と軽く吹き飛ばし、愛銃を再びコートのホルスターへと仕舞う。
「こっちだ! 死体の回収には気をつけろ! 素手で触るなよ?」
「二次被害は無いか? 周囲をよく確認しろ!」
「立ち入り禁止のテープを急げ! 野次馬が近づかんように注意だ!」
事後処理担当の署員達を後ろに、ハヤトは踵を返して表通りへと向かった。
『KEEP OUT』と印刷された黄色いテープの外側では、街を往く人々が「何だ、何だ!? 何があった?」と中の様子を興味深げに伺っている。
スマホのカメラで一生懸命に写真を撮っている連中は、後でSNSにでも上げるつもりなのだろう。
……呑気なモンだな。
その光景に眉をひそめながら、ハヤトが現場を後にする。そして、近くに駐車してあった自分の車のドアを開けた。
彼の愛車は、1990年台の小型欧州車である。
……少なくとも外見は、そうだ。
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