はじまり

40/40
4875人が本棚に入れています
本棚に追加
/469ページ
「すごい世界だな」 「王位継承で争うことはよくあることではありますが、ここまで虎視眈々と狙われるのは珍しいですね」 「国柄ってことか」 「どうでしょう。この国は、二つの国がそれぞれ分裂し結合し、ひとつの国になったのです」 「へぇ」 「元は庶民であった者が声をあげ独立した国を作り上げ、王座についたといわれています。ですから、そういう成り立ちを誇りに思ってるものも多く、野心を持ったものたちが多いのかもしれませんね」  国を作り上げたという誇り。力のあるものが上にたてるという自信。  それは、野心をもってすれば王位も奪取できるだろうという確信に変わってるってことか。 「そういう世界に飛び込んでいるという自覚をしっかりもってくださいね」 「・・・・・・へ」 「標的が王妃となるエマさまに向けられることもないとは言い切れませんので」 「ま、まじで!? や、やだよ。暗殺とか。勘弁してよ」 「ですから、勝手な行動は慎んでください。そうすれば、我々ができる限りお守りいたします」  マジで頼むからな。青ざめた顔をカイルに向けると、冷静な視線を返された。くそ。シレッとしやがって。  失敗するとかしないとか関係なく、命の危険があるってことじゃないか。なんてところに嫁に出すんだよ。考えろよ!  国の繋がりとかどうでもいいよ。自分の娘が大切じゃねぇのかよ。  まぁ、俺は娘じゃねぇけど!  ああ、ほんと。なんて世界にやって来てしまったんだろう。  さっさと元の世界に戻りたい!
/469ページ

最初のコメントを投稿しよう!