タスク祭

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 俺がここにいるのもあと一週間ほど。怪我で臥せっていた時間もあるから、一ヶ月なんて本当にあっという間だった。そう考えると、嬉しいはずなのになぜだか胸に重しが突っかかってるみたい。浮かんできたのはエドワードさまの顔だった。  この間の笑顔を見たときから、なんだか変だ。 「シシィはいきたくないの?」 「そ、それは・・・・・・。でも、エマさまを危険にさらすわけにはいきません」 「危険か・・・・・・。でも、私もいきたいんだけどな。思い出作りに」 「あ・・・・・・、あと少しで、エマさまの任務は終わりでしたね・・・・・・。私、何となくこれからもずっとエマさまのお側にいられるのだと思っていました」 「はは。その通りでしょ。”エマさま”についてるメイドなんだから。これからも”エマさま”と一緒だよ」 「違います・・・・・・。そのエマさまと、目の前にいるエマさまとでは・・・・・・」  シシィはいいよどむ。  本物のエマがどんな人物なのかは知らない。逃げ出す行動力のある人物ってイメージでしか知らない。  でも、そもそも一ヶ月って約束だったけど、ちゃんと本物のエマは見つけ出して説得はできたんだろうか。 「でも、だったら余計にそのお祭り行っときたいな・・・・・・」  一月。その一月が終わったら、俺はどうなるんだろう。もとの世界に戻れる保証はない。夢が覚める気配もない。  先のことばかり気にしていても仕方がないが、命と引き換えのこの任務をやり遂げたところで、賞金が出るとは思えない。金がなければこの世界でだって生きてはいけないだろう。
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