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「気を付けて」
「うん。エドワードさまも。根詰めてやり過ぎたらダメだよ」
「ああ、わかっている。トワによろしくな」
「うん。今回の視察、俺にいかせてくれてありがとう」
「ああ。名目は視察なのだ、しっかり村の人たちの声を聞いてくるのだぞ」
「わかってます」
最後まで名残惜しそうに抱き合っていた二人は、最後に触れあうだけのキスをして、父上が父様の手を引き馬車までエスコートする。
ああ、なんて眩しい。ものすごく熱いものを見せつけられて、火傷しそうだ。
それでも、ほほえましいと思う。羨ましいとも思うのだ。
あれほどまでに心から愛する人に出会える確率はどれ程あるのだろうか。その確率に、俺は出会えるのだろうか。
身を焦がすほどの恋。相手しかあり得ない。そんな恋。
この二人は、そんな恋をしている。
「何年たっても、父様たちはお互いを思いあって、愛し合っているんですね」
「えっ、な、なに、突然」
馬車に揺られながら感想を口にすると、恥ずかしそうな父様が真っ赤な顔で俺をみる。こんな風に照れやなくせにどうしてあんな堂々といちゃつけるのだろう。
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