番外編: 憧れの二人

6/11
4901人が本棚に入れています
本棚に追加
/469ページ
「アキト!」 「トワ!」  感慨に耽っていると、父様の名前を呼ぶ声が聞こえた。父様以外は基本的にさま付けなのに、そうじゃないフランクな呼び方だ。  父様もその人を見つけて嬉しそうに抱きついていた。 「久しぶりだな! ほんと、変わらないなアキトは」 「トワこそ変わらないじゃないか。元気そうだね」 「ああ。すっかりおっさんだよ」  仲良さげな雰囲気に、あの人が父上がよろしくと言っていた人なのだとわかった。何となく見覚えはある。子供の頃何度か会ったことはあるような気がする。 「ノア、彼はトワといって、俺がここにいたときにお世話になった友人なんだ」 「こんにちは。ノアです」 「おお! 大きくなりましたね、ノア王子。お元気そうでなによりです」  父様に対してはフランクなのに、俺に対しては敬語だなんてなんだか不思議な感じだ。父様も気にした様子もないし、二人には俺のわからない関係があるのだろう。
/469ページ

最初のコメントを投稿しよう!