番外編: 憧れの二人

10/11
4897人が本棚に入れています
本棚に追加
/469ページ
「もっと体を鍛えて、強くなって、必ずあなたの側にいきます! だから、だから、待っていてくれますか!?」  まっすぐな思いに目眩がする。そんな風な熱い思いを向けられたことなんてはじめてだった。 「ああ。待っている。だから必ず成し遂げて見せて。それまで俺も、王子であることを誇りにもってもっと強くなっているから」 「はい!」  輝かしいスッキリとした笑顔だった。言いたいことを全部吐き出した清々しい笑顔。  あとで父様から聞いた話だが、クレイも父親を亡くしていて新しい父であるトワと暮らし始めた頃、新しい環境に馴染めず不安だったらしい。そんなとき、俺の存在を知った。両親を亡くした孤児で、王族に引き取られた子供。がらりと変わった環境に戸惑いながらも王子と王子妃の息子として華々しく紹介された、そんな子供がいるのだと母に教えられたのだという。  その頃から、俺のファンらしいーー。
/469ページ

最初のコメントを投稿しよう!