ファシズムサンタ

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 現代にあってはならない思想が燃え上がった。その炎に魅入られし者は、悪漢も真っ青な侵略者。彼らはソリと共にやってくる。己が国家の利益の為ならば、他国がどうであろうと知ったことではない。そんな傲慢な心が大地を赤く染めた。 「この機体。いいよ。量産すればするだけ、奪い取れる」  機甲戦車。航空爆撃機。航宙戦艦。どれもに当たるハイスペック兵器、SO-1 RIシリーズ 通称「ソリ」は圧倒的な威力を発揮した。宇宙へと飛び出した人類を統括しようなどと、夢物語と思われていたが、それをあっさりと実現してしまったのだ。 「どの星の資源も既に心許ない。間引くのは当然な話さ」  そして、最もとんでもないのが、そのソリを駆る者共の心積もり。己が思惑に従わないのであれば、死を持って応える悪魔だ。彼らウルグヘッド・バーバリアンに支配された者達に自由など存在しない。 「誰を間引くって? なっちゃいないな~アンタァ」  だが、そんなものに屈しないデトピアと呼ばれる異常者が現れた。銃弾、ミサイル、レーザーなどの旧式兵器はもちろんのこと、物質破壊、精神汚染の類ですら、人体で受け止める有り得ない存在。単独で星間移動を行える化け物。  突然、現れた女性デトピアにバーバリアン共は慌ててソリで応戦するが、足止め程度も満足に出来ず。それどころか、女性の快楽に繋がっている。 「なんだいその水鉄砲は? この程度なら、この星は私のものだ」  こうしてバーバリアンとデトピアの戦いは繰り広げられた。この争いの火種となったソリとデトピアが誕生したのは、奇しくもクリスマスの夜であった。
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