迷宮

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ルキの質問にユマは笑う。 「ああ分かったよ。溺死した人たちは水をたらふく飲んで暴れた形跡がないそうだ。まるで重しをつけられたみたいにな」 「でも重しなんかなかったって言ってたじゃん」 「うん。重しは消えたんだ。消える重しを使えば可能だよ。魔法学校の生徒ならば、すぐに分かる。警察はあんまり魔法を使わないから気付かなかっただけさ」 「どういうこと?」 「足に凍った重しをつけるんだ。水の氷だと浮くから、例えば空気を集めて氷にする。魔法は何かを集めることにも使えるし、川に沈む氷を使えば、沈むし、溶ければ証拠も残らないさ。ネタが分かれば次は止められる。前にアイバーンと色んな液体や気体を凍らせて遊んだことがあるから、よく覚えてる」 「……人に話を聞くだけでそこまで分かるんだ」 ルキは心底驚いていたが、アイバーンやトラクは涼しい顔をしている。 「トリックが分かっても救えなきゃ意味がない。次を止めなければ……」 アイバーンの言葉にユマもトラクも頷くが、その日を境に溺死の事件はぴたりと止んだ。 誰にもトリックを暴いたことを言っていないのに。
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