11人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
「お兄ちゃんたちは?」
不思議そうに問いかける男の子。
「このお兄ちゃんたちが、あんたを助けてくれたんだよ」
マーヤが男の子の前にサラダを置きながら説明をした。
「……そうなんだ」
少しだけ寂しそうに俯く男の子。
「名前はなんて言うんだ?俺はユマ。眼鏡がアイバーンで、そっちのかわい子ちゃんがトラクちゃん」
「もう!」
トラクが、ユマの背中をバンバン叩く。
「そんなに可愛いの!?」
ユマやアイバーンやトラクは笑うが男の子は笑わない。
「僕はルキ。お兄ちゃん、助けてくれてありがとう……」
ユマは何かの違和感を感じたが、黙ってルキに問いかける。
「ルキは何があったか覚えているのか?」
「……うん。僕の家族は貧しくて、お金を作るために僕は売られたんだ。バラバラにされて臓器を売りさばくって言われた」
しんと静まる。
「お前は……。ルキはそれで良かったのか?死んでたんだぞ?」
「仕方ないよ。僕がそうならなきゃ、みんな餓えちゃうもの……」
ルキはスープを飲み干したが、サラダに手を付けずに椅子から下りる。
「僕が家族のとこに帰れるか分からないけど、一応手紙書いてみるね」
何とも言い様のない後味の悪さ。
あとに残ったユマが盛大にため息を吐く。
「マーヤさん、俺ら今晩は外で飯食ってくる。気合い入れ直してくる」
「はいよ。お酒は駄目だからね」
はーいと返事をして、三人は街に繰り出す。
「おかしくないか?家族とは、簡単に子供を見捨てられるものなのか?」
夕暮れに染まる街路でアイバーンがついこぼした。
「俺らにゃ分からないよ。家族がいないんだからさ……」
「うん……。私たち孤児だもん。家族の事情なんて分からないよ……」
三人の胸は重苦しく息苦しくなる。
最初のコメントを投稿しよう!