異変

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「お兄ちゃんたちは?」 不思議そうに問いかける男の子。 「このお兄ちゃんたちが、あんたを助けてくれたんだよ」 マーヤが男の子の前にサラダを置きながら説明をした。 「……そうなんだ」 少しだけ寂しそうに俯く男の子。 「名前はなんて言うんだ?俺はユマ。眼鏡がアイバーンで、そっちのかわい子ちゃんがトラクちゃん」 「もう!」 トラクが、ユマの背中をバンバン叩く。 「そんなに可愛いの!?」 ユマやアイバーンやトラクは笑うが男の子は笑わない。 「僕はルキ。お兄ちゃん、助けてくれてありがとう……」 ユマは何かの違和感を感じたが、黙ってルキに問いかける。 「ルキは何があったか覚えているのか?」 「……うん。僕の家族は貧しくて、お金を作るために僕は売られたんだ。バラバラにされて臓器を売りさばくって言われた」 しんと静まる。 「お前は……。ルキはそれで良かったのか?死んでたんだぞ?」 「仕方ないよ。僕がそうならなきゃ、みんな餓えちゃうもの……」 ルキはスープを飲み干したが、サラダに手を付けずに椅子から下りる。 「僕が家族のとこに帰れるか分からないけど、一応手紙書いてみるね」 何とも言い様のない後味の悪さ。 あとに残ったユマが盛大にため息を吐く。 「マーヤさん、俺ら今晩は外で飯食ってくる。気合い入れ直してくる」 「はいよ。お酒は駄目だからね」 はーいと返事をして、三人は街に繰り出す。 「おかしくないか?家族とは、簡単に子供を見捨てられるものなのか?」 夕暮れに染まる街路でアイバーンがついこぼした。 「俺らにゃ分からないよ。家族がいないんだからさ……」 「うん……。私たち孤児だもん。家族の事情なんて分からないよ……」 三人の胸は重苦しく息苦しくなる。
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