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迷宮
ルキを保護してからというものユマたちの活動には足枷がかかった。学校に行っている間はマーヤがルキの面倒を見るが寮に戻るとルキはユマたちにくっついて歩く。深夜に街を調べているユマたちは活動できずに日々起こる事件を耳にするだけだった。
「現場を見れば、手掛かりが分かるかも知れないのに……」
事件の内容を聞くたびにユマはそう言って歯軋りをする。アイバーンもトラクも同じ気持ちなだけに考え込んでしまう。
「何かいい案はないだろうか?いっそ活動を昼にしてルキも連れていくとか?」
「危ないよ。ルキはまだ子供なんだよ?」
アイバーンの提案にトラクは反対するが、ユマはそうではなかった。
「いや。それがいい。それしかない。ルキだって組織に関わったんだ。きっと狙われる。俺らが守ることができる状態にあったほうがいい」
アイバーンの提案は受けいられ、翌日、三人は学校を休みルキを連れて、ここ一週間、溺死が頻発している川を訪れた。
「ちょっと事件のことを聞いていいですか?」
川の近辺を歩く人たちにユマたちは次々と声をかける。そのほとんどが愛想よく応えてくれる。
「なんでお兄ちゃんたちには、あんなに簡単に応えてくれるの?」
側にいたルキが不思議そうに尋ねた。
「ああ。俺ら、魔法学校の制服着てるからね。将来、官僚になったり将校になる人の学校だから多少事件に首突っ込んでも不思議がられないからね」
ユマの説明のあとにトラクが捕捉する。
「それにユマは探偵としても実績あるからね。結構有名人なんだよ」
「ふーん。じゃあ、溺れた人のことも分かったの?」
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