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魔法学園動く
ルキを救助してからユマたちの捜査は行き詰まった。いつもならば授業のあとに街に聞き込みに行くのだが、ユマたちが目を付けた事件や事故はなぜか記録や証拠が消えている。最中の事件はぴったりと鳴りをひそめる。
「これは平和なんだろうか?」
ユマはマーヤの作ったシチューを口に運びながら呟く。
「間違いなく違うね。何かが起きているんだ……」
トラクの呟きにアイバーンも頷く。
「誰かが俺らの動きを監視している。それも魔法学園の誰かが」
と言っても、それが誰であるかユマには想像もつかない。魔法学園の教師でユマたちが影で動いているのはファムだけだ。ファムが密告者とは考えづらい。
「ファム先生に聞いてみるか……」
ユマは苦々しく呟く。その横でルキが大人しくシチューを啜っていた。
翌日の朝、三人は早々に職員室を訪ねていく。そこにいる教師は皆、一流の魔法使いであり、ユマたちが束になっても敵わない相手ばかり。ユマはつい生唾を飲み込む。
「ユマ、緊張しないでよ。私まで怖くなるじゃん……」
「あら。トラクちゃん、ごめんなさいねぇ」
おどけた調子のユマにトラクはププッと笑う。
アイバーンはそそくさとファムのデスクに近寄る。
「ファム先生、話があります」
毅然とした態度のファムは、異変を感じたのか席を立つ。
「外に行こうか」
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