「Project ANIMA」応募プロット 1「舞台設定」

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「Project ANIMA」応募プロット 1「舞台設定」

(1)学生ラジオ  本作は基本的に現代日本を舞台としているが、この競技の存在については現実と異なっており、それが「もしラジオが、中高生が青春をかける部活競技だったら」というコンセプトとなる。 (ア)運営の仕組みと沿革  「日本学生ラジオ競技連盟」によって運営されている、中高生によるラジオ番組の制作・配信競技。大学や専門学校等の学生によるものは一般アマチュア部門として扱われており、「学生ラジオ」というと中高生の競技と認識されている。略称は「学ラジ」。  連盟は、その事務局(主体となっている放送局)の所在地、そして全国大会の会場にちなんで「浜松町」の通称で呼ばれている。「『浜松町』から取材が来る」は「大会の運営である連盟から取材が来る」という意であり、「『浜松町』を目指す」は「全国大会を目指す」の意になる。  2007年(文化放送の超A&G+の放送開始と同年)に、前身となる団体がインターネットを通じて誰でもラジオ番組を公開できるサービスの提供を始めた。この段階では学生の競技ではなかった。このサービスと連動して収録・編集・配信・聴取・そして番組への投稿まで行えるソフトウェアを、PC用だけでなく家庭用ゲーム機のソフトとしても無償で提供したことが、中高生の注目を集めた(PS3の発売は2006年)。2008年に日本でもiPhoneが発売され、スマートフォンとアプリが急速に普及したことも追い風となる。多くの中高生がそれぞれの青春をラジオとして発信し、それが世代を問わない聴取者層にエンターテインメントとして普及していった。2010年に「日本学生ラジオ競技連盟」を設立。中学生の部と高校生の部に分けて、規定に基づく順位付けを行う「競技」が始まった。  競技となった学生ラジオは、やがて「甲子園」に匹敵する青春エンターテインメントとして幅広い世代に人気を博するようになった。番組制作の技術についてはプロのものには及ばないとしても、競技に青春をかけて打ち込む中高生の姿も含めて関心を集めている。  「甲子園に匹敵する」という通り、花形競技でもあり国民的な注目も集めるが、興味が無い人もいればルールを知らない人もおり、参加する部活動の無い学校もある。  各校の部活等の名称は様々であり、放送部や放送委員会が活動の一部分として参加している場合もあれば、ラジオ部、競技ラジオ部等の名称である場合もある。主人公の在籍する銀嶺中学校においては娯楽放送部と称されている。  大会の運営費用は、主に広告料によって賄われている。利用者がアップロードした番組に広告が挿入される設定になっている。  なお、学生競技以外の一般・個人向けのインターネットラジオ配信サービスも同じシステムで提供されている。登場人物の1人である美麻詩子は、部活動としての番組配信を休止している間、これを利用して不定期に個人による音声配信を続けていた。 (イ)競技の流れと規則  参加チームは学校単位で連盟に登録し、番組アカウントを取得する。監督する学校職員の責任において、公式の運営するサーバーに番組のアップロードができる。番組の時間は1回30分までで、更新は1週間に1度まで可能。  収録による音声配信に限っており、動画機能や生放送の機能は無い。また、番組外で情報を発信する機能も公式には用意されていない。これは、中高生のプライバシーを一定程度保護することと、予算勝負に陥らないようにするねらいがある。  番組内では原則としてはその学校の生徒が喋ることが規定されている。ただし一部分にゲストを招いたり、インタビュー等で部外者の音声を採用することは認められている。大会期間の終盤近くになると、全国大会出場の可能性が高い学校には、運営公式から取材も兼ねた監査が入り、規約に則った番組制作が行われているかが判定される。  番組内で扱う情報は、真実であるかどうかは問わない。匿名や偽名(芸名)を名乗っても良い。これは、真実しか扱ってはならないと規定しても、その検証は困難であることと、「中高生が部活で喋っている」という設定に縛られない自由な発想による番組制作を認める意図による。例えば「異星人が地球人について語り合う」という設定で制作しても構わない。ただし真実でないことを発信することによって他者に損害を生じさせた場合などについては、競技規則より前に一般社会における責任が当然生じる。主人公らも「ルミ」「しぃ子」「ミカ」とニックネームで配信している。 (多数の中高生が校名まで明らかにしてインターネットラジオを配信することについてはプライバシー保護の観点から違和感を感じるという意見も考えられるが、匿名性を高めると読者の混乱を招きかねないと考え、舞台世界では必要な対策が取られるなどして問題とならないことにしている)  効果音やBGM等の音声素材は公式側から多様なものが用意されており、番組ではそれらを使用してよい。勿論、独自に制作したものを使っても構わない。また、楽曲やコンピュータ・ゲーム等の音声も、主催者が権利者と契約しているものは使用できる。権利者にとっては宣伝効果も期待できるため、利用可能なコンテンツは多岐に渡る。  聴取者の側は、年齢等を問わずアカウントを取得でき、オンデマンドで番組を聴取できる。聴取者は1週間に1度までいずれかの番組に「投票」(いわゆる「いいね」)することができる。  1年を4~6月、7~9月、10~12月、1~3月の4クールに区切り、それぞれのクール毎の累計聴取時間と「投票」数によって成績を決定。成績は別のクールには持ち越されない。  それぞれのクール毎に各都道府県で1~2校(人口と、聴取者アカウント数の差によって調整される)が全国大会に出場する。番組の聴取・投票は都道府県を問わず可能だが、どうしても「地元びいき」が生じるため人口の多い地域の学校ばかりが進出するようになっては「全国大会」ではなくなってしまうということと、地域特性を生かした多様な話題が敬遠されるようでは望ましくないというねらいから、都道府県別の代表制となっている。主人公たちの学校が在る県からは1校が全国大会へ進める。  全国大会を目指すためには1週間毎の番組更新が最も有利となるが、それが義務付けられているわけではない。全国進出を度外視して不定期に配信を楽しんでいる学校も少なくない。 (ウ)全国大会  全国大会は、東京 浜松町の会場を舞台に、各都道府県の代表が実際に集まって行われる。  出場校を選出するまでの過程と異なり、複数の出場校が同時に参加するトークショー形式や、事前に示された条件に従って準備してきた番組の収録等が行われる。その内容を大会公式が審査し、各賞を授与する。  大会の様子は公開録音形式で一般観覧が可能。また、後日、番組として編集された内容が配信される。全国的な人気イベント、人気番組であり、出場するだけでも相当に知名度が高まる。大会で注目されて放送業界や芸能界へデビューする者も少なくない。  例えば4~6月クールの成績上位校による全国大会は7~9月クールの期間中に行われる。全国大会に注力するためにそのクールの通常配信は行わない、あるいは更新頻度を落とす、ということも可能だが、全国に出場するような強豪校では並行して参加することがほとんどである。 (2)銀嶺中学校(ぎんれい ちゅうがっこう)  本作の部活編の舞台となる公立中学校。  作中で明示する必要は無いが、立地は長野県上田市の上田駅にほど近い市役所近辺を想定している。実際に小・中・高等学校が存在する地区である。学校から駅は徒歩圏内であり、近くに商店街やショッピングモールもある。新幹線に乗れば東京駅まで2時間以下。  ただし学区は広く、バスや自転車、車の送迎により通学している生徒も少なくない。駅から車で20~30分も離れるとすぐに農地や山林もある。標高は5百メートル台であるので桜は入学式を過ぎてようやく満開を迎え、豪雪地帯ではないが雪も当たり前に降る。真夏の最高気温は35度に達することも珍しくなく、冷房は必要だが、設置されていない教室も少なくない。  学校規模は、普通学級が1学年8クラス、全校生徒は7百人台。この県の公立中学校としては大規模。多様な部活動がある。  制服は、男子はいわゆる学ラン、女子は紺地に白ラインのセパレートタイプのセーラー服。6~9月の夏季は上はワイシャツ・ブラウスになる。名札は常時着用しなくてもよい。(あくまでこういうイメージでこのプロットを書いたという意味であり、このような制服でないと物語が成立しないということはない)  校舎は築20年を越えて古い部分もあるが、部分的に改築されてもいる。放送室の設備は新しく、防音の収録ブースで複数のマイクにノートPCを接続して収録ができる。  なお校名は、複数あった中学校が統合されてこの学校が新設される際、住民による公募によって命名されたものであり、地名由来ではない。略称は「銀嶺中」が一般的。 (3)銀嶺中学校 娯楽放送部  「日本学生ラジオ競技連盟」による学生ラジオ競技に参加している部活動。  この学校では「下校時の放送」が無く、朝と放課後の部活動の時間や休日等はこの部活が放送室を独占的に使用できる。それ以外の時間は放送委員会なども使用するため、部活動の物品は放送室内の鍵のかかるロッカーに収納している。放送室とロッカーの鍵は職員室に保管されており、その都度借りに行く。収録用のノートPCは放送室の設備の1部という扱いだが、事実上、娯楽放送部の専用となっている。データはUSBメモリで持ち運んで部員が自宅等で編集している。  創部以来、大きな成績は残してこなかったが、本編の始まる2年前に美麻詩子(当時1年生)が入部した後、ラジオ配信に積極的な彼女に感化されて躍進し、全国出場を伺うまでに至った。その時点での部員は3年生3名と1年生の詩子であった。しかし番組の方針を巡って生じた意見の相違をきっかけに、元々あった人間関係の問題が顕在化し、9月末のクール最終回を配信することなく活動を休止。以後、詩子が3年生となる春までは部としての活動を行わなかった。  本編開始時点での部員は、3年生となった詩子1名のみである。  現在の顧問は以前の経緯を詳しく知らない。2年前の顧問は既に他校へ異動している。  なお、この学校では3年生が文科系部活動を引退する時期は「秋の大会等が完結するまで」とされており、娯楽放送部の場合は、通常配信では7~9月クールまでとなり、その期間の結果として出場した全国大会についても参加できる。つまり作中で全国を目指す7~9月クールは、3年生にとって最後の機会となる。
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