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序章~ミダース・タッチの一説より~
ある日、金が大好きなミダス王の治める城のバラ園に、シレノスという半分人間半分ロバの男がフラフラと迷い込んできました。
バラ園の噴水には水ではなく、ワインが注がれていました。
酔っ払っていたシレノスは噴水のワインに顔を突っ込み、ガブガブと飲み始めました。
ミダス王は酩酊するシレノスを助けてやり、シレノスの話を聞きながら持て成しをしました。
そこへ、豊穣と酒の神ディオニュソスが現れます。
シレノスはディオニュソスの従者であり教師だったのです。
ディオニュソスはミダス王の持て成しに感謝し、お礼にと言って願い事を叶えてやることにしました。
ミダス王は「触れるとどんな物でも金に変わる力」を望み、それを与えられました。
いろいろな物に触れて金(この場合は金銭ではなく黄金や金塊、金の彫像の類)を手にし喜ぶミダス王でしたが、触れる物全て──食べ物も飲み物も、自分の娘でさえも全て金に変わってしまうことに気付きました。
恐ろしくなったミダス王は、ついに自らディオニュソスにこの力を消す方法を聞きに行きました。
パクトロスの川で体を洗えば力が消えると聞いたミダス王は、すぐさま川へ行き水で身を清めると、無事に力から解放されたのでした。
(ギリシャ神話「Midas touch(ミダース・タッチ)」より)
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