13人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
第4話 隅田、大いに怒る。
ある日、表向きのリサイクル業が軌道に乗りすっかり羽振りの良くなった隅田は、セレブの集まるパーティーで高級ブランド品を取り扱うアウトレット店を経営する男と知り合った。
高飛車で嫌味な奴だが、隅田は酒の席でこんな儲け話を持ちかけられる。
「うちの店は特別なルートで品物を仕入れてるから、目が飛び出るほど高価なブランド品も安値で提供できるんだ。あんたにはお近づきの印に、存分にサービスしてもいいよ」
隅田は男の話を聞き、頭の中の電卓をカタカタと叩いた。
店主の良心でまけられた価格と定価との差額で、さらに大儲けすることは出来ないか、という考えを巡らせたのだ。
つまり、ブランド品を大量に買い占め、それを不思議な力で金に変える。
ブランド品そのものの価値が率直に金として変わるなら、買い占めに費やした金も補填できるどころか倍以上にも膨れ上がるかもしれない、という算段だった。
隅田は早速男の店に赴き、ブランド品を買い占めた。
そしてそれらを自宅地下にある倉庫に集めると、待ちに待った“金に変える力”を行使した。
(……は?)
しかし、変えられた金は、どれも驚くほどの安値だった。
理由など、すぐに察しがついた。
隅田は怒りに任せて、男の店へと殴り込んだ。
最初のコメントを投稿しよう!