R第23話 side D

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R第23話 side D

有村さんの、お陰か何なのか…… 俺の前では、百合も以前とは別人のような顔をしてくれる様になった。 「俺の前でも自分の事“百合”って言うくらいになって欲しいな」 そう言った俺に真顔で 「はい? 私……26だけど?」 「いや、お父さんの前では言ってたじゃん。あれが()って、事だろ?」 そう言った俺に、顔を両手で覆って赤面した。 「もう! 聞いてたの!? それ……中野くんにも、有村さんにも見られて、激恥ずだよ」 「え? みんな知ってたわけ?」 「うん、中野くんにも前にからかわれて…“百合”って言ってんじゃんって……」 「……中野って“百合”って呼んでるよな? 仕事じゃない時」 「え? 呼ばれた事ないよ、“上原”だよ」 ……マジか。 何かそれで……百合のこと気になり始めたような……うわぁ、勘違いかよ。 「ん?」 小首を傾げる可愛いさに、ま、いっか。中野のせいでも。 あ…… ついでに気になってた事を……ふと聞いてみた。 「なぁ、谷川さんって、中野の事、好きだったり……」 「わ、私の口からは……な何とも」 百合の動揺が肯定してる。 あー、そっか。 やっぱり。以前受付の前で思った事は…… そうなのか。 実ればいいなって……思うけど。谷川さん良い子だし 中野は……モテるな。あんなんだけど。 あ、百合もカッコいいって言ってたな。 カッコいいか、確かにな。俺には出来ない、あんな、恋は。
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