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R第24話 side D
「お前、ほんと、分かりやすいからなー」
中野はそう言った。
「俺で、気づいたわけ?」
百合と、付き合ってるって。
「そうだな。あの受付前で。最初は俺が上原と下りて来た時。そこで、あれ? っと思って、次は……上原が有村さんと歩いて行った時。あれで確信したよね。お前、見すぎ」
「あー……俺か。出てるのは」
「そだな。でも少なからず上原からも出てるからお前の片思いじゃなく、付き合ってんだって思ったんだよ」
「少なからず……か」
「それが、上原の良いとこだろ。あんな異星人達と仕事しなきゃなんねぇだろ? 企画部は。開発にも営業にも同じように接することが出来る。ある意味すげーよ」
いや、でも少しくらい……さ。
「ま、そうだな」
「何だ?お前みたいに“可愛いね”なんつって普通に言えるやつには分かんねぇだろな」
「俺? まさか、吉良さんじゃあるまいし」
「……怖。上原に同情するわ」
「はぁ?」
「他の女と私、何が違うの? とか、言われるタイプだな、お前」
ぐっ。
言葉が、出ねぇ。
「で、上原も、お前とは逆の意味で他の男と何が違うんだ? と、思わせる女。いやー、お似合いですな」
「お前!」
薄目で睨む。
「“可愛い”なんて言うのは、上原だけにしといてやれ!」
「言ってる? 俺?」
「ああ、真っ直ぐに褒めるんだよな……。裏がないだけに……質が悪い」
中野はそう言って、からかうように笑った。
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