R第24話 side D

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「あー……でも、似てるわ」 中野は誰かと合わせてそう言った。 「何だよ」 「宮さんもさぁ、サラッと褒めるんだよな。下心なく」 「あー、へぇ」 「あの人は男女関係なく、『うわぁ、凄いね』とか。『可愛い』とか『格好いい』とか」 ちょっと嬉しそうに言う中野に 「あー、へぇ。褒めてもらったんだ。宮さんにそう言われるって、凄いじゃん。何したんだ?」 そう聞いた。 「……書類にホチキス……を」 「はい?」 ホチキス? 「いや、いい」 何か赤くなってるけど。訳の分からんヤツだ。 「中野、彼女は?」 「今はいない。ってか、当分いっかなーって」 「気多いんじゃねーの?」 「だなぁ。相原、佳子さん、中条さん、谷川……んー、まぁ、こんなんか。社内」 「ちょ、百合は無いだろうな?」 「さぁ、どーでしょお?」 ムカつく笑みに、睨んだ。 え……あれ? 「谷川さん!?」 「あー、まあ。可愛いし。てか、めちゃめちゃ清純派だろ? そこがいいなって、彼氏いるし、それだけの事だ。俺、そんなだもん」 それが、どうした?とでも言うように 中野はそのままビールに口を付けた。 何かが…… 起こればいいなと、思った。
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