エピローグ

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「なー、俺さぁ。プレゼント欲しいもんあるんだけどー」 「え、もう用意しちゃってるよ?」 「物じゃなくてー」 キッチンと、ソファから離れて話す。 「何ー?」 「“堂本くん”やめてくんない? 二人の時は……」 ここからでも、耳まで赤いのが分かる。 ……え、そんなにハードル高いか? 「何だっけ、名前……」 はい、S発動。絶対知らない訳がない。 「はい?」 「じょ、冗談だよ。私、企画事務だし」 ……あー、書類いっぱい書くからね。って、それを言うなら 「“企画事務だし”じゃなくて“彼女だし”だろ!?」 ふてくされてそう言った。待ってみたけど、一向に呼ぶ気配もなく、仕方なく、諦めた。 そのうち、呼ばすとしよう。トイレに立ち、リビングに戻ろうとしたら ……ん? 「……た、(たける)。尊くん。尊。た、たけ……もう、無理ー」 百合の小さな声…… ……口を押さえて、その場にしゃがみ込んだ。 呼ぶの、練習してる。 何、あれ。激可愛い。 いいや、もう。 可愛いの見れたから、いいや。
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