エピローグ

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『“堂本くん”やめてくんない? 二人の時は……』 さっき、彼はそう言った。 そのまま、流してしまって……まだ、呼べてない。 ちょっと呼ぶ練習もしてみたけれど…… 物凄い苦手。私は、女子同士のあだ名とか、下の名前とかも皆が呼んでてもなかなか呼べないタイプだった。 堂本くんは、あっさりといつの間にか『百合』って呼んでる。 このスキルゆえ、色々と勘違いも起こるんじゃないかと…… 「おい、他の事、考えるなよ」 眉を寄せて睨まれて、笑って誤魔化した。 この人には、分かんないだろうな。 名前を呼ぶのに、緊張してます。……なんて。 今見られてる裸より、恥ずかしいかも。……なんて。そんな、私ににっこりと笑うと 「好きだよ、百合」 ああ、ほら。また真っ直ぐにそんな事を言う。恥ずかしがることもなく。 言われたこっちが……恥ずかしくなる。 そんな私に 「ん?」と、首を傾げる。 ああ、ほら。 今……頑張れ、私! 「私も、好きだよ、尊」 顔から火が出そう。 ……頑張った。けど…… こっから、どうしたらいいの?
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