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この会社に引っ張られ1年とちょっと……
俺をこの会社に誘ってくれた有村さんはいい男だ。結婚して子供もいる。
その愛妻家っぷりがまた魅力的らしく、企画事務の上原さんはうっとりと彼を見ていた。
どうこうしようというのではなく、まぁ、格好いいから。
その気持ちはめちゃめちゃ分かる。
どうこうしようというのではなく、まぁ、可愛いから。
俺の佳子さんに対しての気持ち。
中途採用の俺は、この会社に入ってすぐに、色々と仕事を任された。それは、とても有り難いし、やりがいもある。
だけど、内外と他人に会うわけだし、消耗はする。
企画部は、営業と開発の間に位置する。
バイパスみたいな。
営業部はともかく、開発部とか異星人が過ぎるわけ。めっちゃ疲れる。
営業部も、ある意味異星人だけど。それは美しすぎて、だ。
営業部は当然、外出してることが多い。
必然として営業事務の佳子さんとのやり取りが一番多い。彼女はあっという間に気を使わなくていい人になった。
しょうもない雑談をしてくれる。楽しい時間だ。仕事もやり易い。
それだけじゃない。距離感、肌の質感……
それに、こっちを笑わせるだけじゃなく、いつも笑ってくれる。
なんて言うか……
彼女がいると、ふわっと空気が柔らかくなる。
だけど、彼氏がいるのも知ってる。
昼時に見かけた事もあった。落ち着いた、格好いい人だった。
多分、佳子さんより年上。
どうこうしようというのではなく、まぁ、可愛いから。つい……
癒しだ。
癒し。
ただ、分かりやすいらしく、俺。企画では皆知ってる。
俺が佳子さんを……そんな目で見ている事。
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