R第1話 side D

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この会社に引っ張られ1年とちょっと…… 俺をこの会社に誘ってくれた有村さんはいい男だ。結婚して子供もいる。 その愛妻家っぷりがまた魅力的らしく、企画事務の上原さんはうっとりと彼を見ていた。 どうこうしようというのではなく、まぁ、格好いいから。 その気持ちはめちゃめちゃ分かる。 どうこうしようというのではなく、まぁ、可愛いから。 俺の佳子さんに対しての気持ち。 中途採用の俺は、この会社に入ってすぐに、色々と仕事を任された。それは、とても有り難いし、やりがいもある。 だけど、内外と他人に会うわけだし、消耗はする。 企画部は、営業と開発の間に位置する。 バイパスみたいな。 営業部はともかく、開発部とか異星人が過ぎるわけ。めっちゃ疲れる。 営業部も、ある意味異星人だけど。それは美しすぎて、だ。 営業部は当然、外出してることが多い。 必然として営業事務の佳子さんとのやり取りが一番多い。彼女はあっという間に気を使わなくていい人になった。 しょうもない雑談をしてくれる。楽しい時間だ。仕事もやり易い。 それだけじゃない。距離感、肌の質感…… それに、こっちを笑わせるだけじゃなく、いつも笑ってくれる。 なんて言うか…… 彼女がいると、ふわっと空気が柔らかくなる。 だけど、彼氏がいるのも知ってる。 昼時に見かけた事もあった。落ち着いた、格好いい人だった。 多分、佳子さんより年上。 どうこうしようというのではなく、まぁ、可愛いから。つい…… 癒しだ。 癒し。 ただ、分かりやすいらしく、俺。企画(ここ)では皆知ってる。 俺が佳子さんを……そんな目で見ている事。
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