R第1話 side D

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──── 会社の忘年会。 珍しく一人でいる絶世の美女と呑んでいたら これまた、絶世のイケメンが参戦してきた。 どうやら、呑ませてはいけなかったらしい。 酒が入り、より一層の中条さんの色気を、吉良さんが男の色気で相殺してくれながら、雑談をした。 さっきまで饒舌だった中条さんが、思いっきり吉良さんには塩対応だ。 ……仲、悪いのかな。 悪かったらこないか、横に。 嫌われてる?……いや、ないか。 吉良さんはそんな中条さんに気にする素振りもなく、寄り添う。 俺は、総務の宮司さんと中野、営業の相原と話す佳子さんを見ていた。 「へー! じゃあ、佳子さん今フリーなんだ!」 中野の大きな声が聞こえた。中野は宮さんに怒られてるけど…… いや、中野だって佳子さんが気になってるからそんな話になって、フリーにテンションが上がったのだろうけど。 ……フリー? フリーって…… 彼氏いないって事…… 100%俺の意識と耳はそっちに持っていかれた。 「……おい、佳子ちゃん、フリーだってよ」 有村さんが、俺にそう言った。 「……ちょ、ここで言わないで下さいよ」 営業部(この二人)の前で。わざとだな、有村さん。ちょっと睨んだけど、知らぬ顔。 「……何? 企画にも佳子ファン多いの?」 察しのいい吉良さんがすぐに反応する。 佳子さんファンは多い。あの開発部(異星人)の間でも。 好きってなるとまた別なんだろうけど……。 「いや、だって……可愛いじゃないっスか。ふわっとして」 正直に言った。正直な気持ちだから。 「行ったら? じゃあ……佳子ちゃんとこ」 有村さんが、佳子さんの方を指差す。 行こうか、マジで。と、思って背中を壁から少し浮かしたその時 「駄目だよ」 バッと音がするくらいの勢いでそう言った吉良さんの方を向いた。 「佳子ちゃんは、ダーメ」 「何でですかー。佳子さんフリーの期間なんて短いんだから」 「もう、予約入ってまーす」 「え? マジで……」 「そそ、若者はこれからなんだから、諦めなさーい」 そう言って、ニッと笑う。 ……え……アンタかよ。予約かよ。 じゃあ、行けよ、あっち。 男と喋ってるけど?いいのか?まあ、男ってか社内だけど。 ……余裕?その割りにはここで俺に牽制? よく、分かんねぇ。予約って何だよ。 モヤるわ。
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