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「あ、豚まんと言えば…」
「豚まんの補充分をお持ちしましたが、何か?」
紗奈が皆まで言い終わらない間に、冷凍豚まんのストック袋を肩に担いだ倫音が、売り場に戻ってきた。
「季節外れのサンタクロースみた~い。さすがに気が利くわね。天崎さん、ありがとう!」
話をどこから聞かれていたのか分からないことに動揺したのか、珠輝は苦し紛れに意味不明な褒め言葉を投げた。
「紗奈ちゃんは休憩へどうぞ。遅くなって、ごめんなさいね」
店長である珠輝と2人きりになったマダム・ヨーの売り場で、倫音は頭を下げた。
「連日の就活で、なかなかシフトに入れず、すみません。ご迷惑をおかけします」
「それは、気にしないで。でも、あなたみたいに優秀な学生さんでも内定が取れないなんて、上場企業の採用試験は厳しいのね」
珠輝の慰めに、倫音は曖昧な表情を返した。
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